イイズナとは?

世界最小の狩人
イイズナ(飯綱)、学名ムステラ・ニバリス(Mustela nivalis)、食肉目イタチ科の最少種。

世界最小級の肉食獣であるイイズナ。
容姿や生態的地位がオコジョに非常に似ているが、体の大きさが1まわり以上小さい。
日本では、北海道全域にキタイイズナ、青森県、岩手県、秋田県、山形県の一部にニホンイイズナが生息する。コエゾイタチとも呼ばれる。
北半球に広く分布し、様々な生息環境に適応している。
尾は体長の20パーセント以下と短く細く、先端に黒色部分がないのがオコジョとの目立った違いである。
大きさは生息地によってかなり異なる。体長13〜19.5センチメートル、尾長1.6〜3センチメートルほど。メスはオスよりさらに小さい。
短足胴長で地面の穴や石のすき間など、ネズミなどのげっ歯類の巣穴に入り、捕食するのに適している。
主食はネズミであり、他の小動物も食べる。
夏毛は背中と四肢と尾はチョコレート色から茶色で、腹部は白い。氷河期の生き残りで、冬毛は全身純白になる。
単独性で、立体的な縄張りを持つ。

生息数の割に人間の目に触れることが少ないのは、その小さな体形と敏捷な動き、それと、季節によって夏毛と冬毛に変わることと関係があるとされる。
生態
オコジョより若干適応力があるといわれ、北国で人里近くにも住み、ネズミ・モグラ類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫などの獲物さえ住んでいれば、人間がいようがいまいがどこでも構わず生活している。
夜も昼もなく10〜45分ごとに活動と休息を繰り返し、毎日自分の体重の3分の1を食べないと死んでしまう。
獲物に対する攻撃性は激しく、獲物の数が豊富な時は好物の脳だけ食べる。さらに、小さな体を活かしてネズミの巣穴に入り込み、中で寝起きを繰り返しては狩り続け、ついには巣穴のネズミを全滅させてしまう、獰猛な狩人である。年に2000〜3000匹のネズミを獲る。
イイズナは単独で住み、岩の割れ目や木の根や穴に、やわらかい素材でできた巣を作る。発情期は3〜4月、妊娠期間は34〜37日、産子数1〜7子。母親が世話をする。
冬眠はせず、雪の下で獲物を狩ることで、過酷な北国の冬を生き延びる。※厚く積もった雪は、非常に低い気温では断熱材として働く。
寿命は、野生下での平均は2〜4年と思われ、外国では最高7〜8年の例もある。
勇猛果敢なイイズナ
ときに、自分の体重の3倍を超える動物でも平気で襲い、獲物の後頭部に的確に咬みついて殺す。瞳孔は横長であり、横の動きを追うのは得意だが、縦の動き、上空の動きを追いにくく、天敵の鳥にやられたり連れ去られることがある。しかし、獲物だけでなく、天敵に対しても勇猛に闘うことが知られている。「一羽のトビが急下降してイイズナを掴むと、サッと舞い上がった。ところが間もなくトビの飛び方がおかしくなり、ついに墜落した。そばへ行ってみると、トビは死んでおり、そこからイイズナが地を這って逃げて行ったという。オコジョも顔負けである。さらに、イイズナもオコジョと同じように”チャーミング(死のダンス)”を行なって狩りをするという...イイズナは催眠術をかけるように、体をくねらせて奇妙なダンスをしながら、目指す獲物の注意を引きつける。このダンスをもっとよく見ようと近づいた鳥は、ガブリとやられるのである。(出典:「オコジョ 高山の可愛い暴れん坊」)」

参照:

 「オコジョ 高山の可愛い暴れん坊」:今泉忠明:自由国民社:1986.10.10

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